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仮想通貨とESG投資の関係とは?メリットやデメリットを解説

cryptomedia

仮想通貨の投資では、将来性や財務状況だけでなくESG投資として選別する投資手法が新しいトレンドになっています。
仮想通貨ビットコインのマイニング業界では、再生可能エネルギー利用が増加しています。
環境・社会・ガバナンスを意味するESG投資では、ビットコインのマイニングによる主なエネルギー源にも注目が集まっています。
今回は、仮想通貨とESG投資の関係性や取り組み、メリットやデメリットについてみていきましょう。

ESG投資とはなにか?

引用:楽天証券

ESG投資は、利益率やキャッシュフローだけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素を取り入れて投資対象を選ぶ方法です。
従来の投資方法は、企業の業績や財務状況を分析して判断されることが主流でした。
しかし長期的な企業の成長には、環境や社会問題、ガバナンスへの取り組みが影響を与えるという考えが浸透しています。

環境(Environment)

環境の観点では、気候変動や、エネルギー効率、二酸化炭素の排出量の削減、廃棄物処理など企業が環境に対してどのような取り組みをしているかや影響が評価されます。

社会(Social)

社会では、男女平等や適切な労働環境、ダイバーシティ、サプライチェーンの他に地域社会への貢献などが重視されています。

ガバナンス(Governance)

ガバナンスとは企業による管理体制のことであり、企業の独立性や株主の利益のバランス、経営の透明性が評価されています。

ESG投資と仮想通貨の関係性

ESG投資と仮想通貨は消費する電力の増加によって大きく関係しています。
ビットコインのマイニングによって大量に電力を消費することで、批判的な意見や規制を強化する流れもあり、ビットコインへの圧力は高まっています。

ビットコインのマイニングでは大量の電力を必要とする

ビットコインでは、新しいコインを獲得するためにPoWというシステムを利用します。
ビットコインの取引が行われるとPoWでは、高性能のコンピュータを大量に使いアルゴリズムの計算を行います。
その中で最も早く計算をした人が新しいコインを獲得できる仕組みになっているため、マイナーは多くの報酬を得るため電力を消費してコンピュータを稼働させています。
マイニングによる年間の電気消費量は約134.15Twhであり、これはスウェーデンの消費電力とほぼ同じです。


引用:ccaf.io

マイニングは主にアメリカやロシア、カザフスタンで行われていますが、電力供給の多くは石炭や天然ガスに依存しています。
そのため、ビットコインは電力を大量に消費し二酸化炭素を排出することで、地球温暖化の原因になるのではないかと批判を受けています。

ビットコインの環境への影響を問題視する発言も

マイニングによって環境負荷がかかることに批判的な意見も出ています。
テスラの最高経営責任者であるイーロンマスク氏は、テスラ車の購入の際にビットコインでの支払いを使用停止にするとTwitterで発言しています。
マスク氏は、仮想通貨は多くのアイデアがあり有望な未来があると信じているが、環境を犠牲にすることはあってはならないという考えを示しており、仮想通貨支持の方針を変えています。

仮想通貨のマイニングを規制する動き

ビットコインのマイニングは様々な国で規制強化の流れが生まれています。
転機となったのは、2021年に中国でマイニング活動が取り締まりの対象になったことです。
中国でのマイニングが禁止になったことで、マイナーの多くはカザフスタンに活動場所を移し、大量の機器が持ち込まれました。カザフスタンでは取り締まりを強化し、マイナーへの課税を導入しています。
またアメリカでも多くの州でマイニングの規制強化を求める動きが活発化しています。
アーカンソー州では、マイナーに対して税金や手数料の支払いや、送電網に負担をかけない方法での運営などの法案が可決しています。
2022年11月にはニューヨーク州で、マイニング禁止法案によって2年間マイニング活動が禁止されています。

ESG投資のメリット

ESG投資は社会貢献や高い将来性があり、長期的な運用には適しています。
ここではESG投資のメリットをみていきましょう。

社会貢献活動に参加できる

企業が環境への取り組みや社会問題の改善のために活動することは、投資家にとって間接的に社会貢献活動に参加していることになります。
ESG投資では、企業が具体的な数値目標を設定し活動を行っていることが多いです。
例えば本田技研工業では、2050年までにカーボンニュートラルを実現することや、30年までに二酸化炭素の排出量を46%減にすることを目標にしています。
またKDDI株式会社では、障がい者雇用や新卒女性採用、社員喫煙率などに具体的な数値目標を設定しています。
投資家は、ESG投資をする際に関心のある活動に注目して投資先を選別することで、持続可能な社会に対して貢献することが可能です。

長期的な資産形成

ESG投資は、企業が中長期的な目標を設定し活動するため長期的な資産形成に向いています。
ESGに取り組む企業は、環境問題や社会問題に対する目標に向けて成長を続けていきます。ESG投資で重視される目標は短期では達成が困難ですが、長期的には社会や環境にとって良い影響を与えることになります。
一方でESGに対して積極的な目標を掲げていない企業は、法改正や労働環境の悪化などビジネスリスクが発生する可能性もあります。
そのため、ESG投資では長期的に安定したリターンを望める投資手法といえます。

市場が拡大する可能性

ESG市場は2025年までに50兆ドルの規模に成長すると予想されています。
現在のESG市場は半数以上を欧州が占めていますが、2022年ではアメリカの成長率が最も高くなりました。
一方で日本国内のESG市場は欧米と比較するとまだ小さいため、今後十分に成長する余地があります。

ESG投資のデメリット

ESG投資は、比較的新しい投資手法なので基準や規制が曖昧な部分があります。そのため見せかけだけの目標の提示など短期では判断しにくいことがデメリットといえます。

グリーンウォッシュ企業が存在する

企業の中には、評価を上げるためESGに取り組んでいるようにみせるグリーンウォッシュをすることがあり問題になっています。
投資家への注目を集めようと過度に情報発信を行う企業も存在します。
グリーンウォッシュ問題への対策をするため、欧米では実態のない取り組みや誇大広告に対する規制の強化が行われております。

短期的なリターンは期待できない

引用:環境省

ESG投資は、環境問題や社会問題への貢献などを考慮し、課題に取り組む優良企業へ投資するため、短期的に大きな利益を狙うことは難しいです。
例えば、2030年までに廃棄物の50%削減や2025年までにプラスチック包装材を撤廃するなどESGの取り組みは中長期的な目標を設定します。
そのため、短期的にみるとリターンは大きくなりにくい傾向にあります。

仮想通貨の環境への改善に向けた取り組み

仮想通貨では化石燃料から再生可能エネルギーへの転換やPoSへの移行など、様々な点で改善への動きがあります。

再生可能エネルギーの活用

ビットコインは、マイニングによって多くの電力を消費しますが、全てを石炭に依存しているわけではありません。
2021年に中国でマイニングが禁止になって以降、ビットコインでは再生可能エネルギーを活用する割合が増えています。
アメリカではビットコインの電力消費量の約6割を太陽光発電や水力発電などの再生可能エネルギーで補っていると推定されています。

PoSへの移行

2022年にイーサリアムは、大型アップデート「The Merge(マージ)」が行われました。Mergeでは、PoWからPoSに移行することによって、エネルギー消費量の99%以上が削減されています。
同様にビットコインにもPoSへの移行を求める声が大きくなっています。
環境NGOの「EWG」はビットコインのグリーン化を目的とした100万ドルのキャンペーンを開始しています。
EWGでは、世界中で火災や洪水が暮らしや命を破壊する中で、気候変動ではなくコードを変更するべきだと主張しています。

まとめ

仮想通貨の投資では、環境への悪影響などを投資基準にするESG投資への関心が高まっています。
ビットコインのPoSへのコンセンサスアルゴリズムの変更を求める運動や再生可能エネルギーの促進など様々な活動が行われています。
この先、企業だけでなく仮想通貨への投資でも環境や社会、ガバナンスに配慮した取り組みが新しい投資基準になると予想できます。

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