ビットコインNFTとは イーサリアムNFTとの違いやOrdinalsの概要について解説
これまでNFTといえばイーサリアムをベースにしたものが主流でしたが、2023年になりビットコインNFTが話題になっています。
NFTがビットコインベースになるとどのような点が変わるのでしょうか。
今回はビットコインNFTとイーサリアムNFTとの違いやOrdinalsの特徴についてみていきましょう。
ビットコインNFTの経済規模が拡大
2023年1月から発行されたビットコインNFTは大きな注目を集めており、2025年には約1.3兆円の経済規模に拡大するという見通しが発表されています。
2023年3月にアメリカの暗号資産投資企業であるGalaxy Digitalは、イーサリアムNFT市場の規模や過去の成長率などから計算して、ビットコインNFTの市場が拡大する可能性があると発表しました。(Galaxy Digitalより引用)
ビットコインNFTの経済規模の推定値は、主流であるイーサリアムNFTと同様に多くのユーザーを取り込んだ場合の値です。
逆に現在のイーサリアムNFTのユーザーがビットコインNFTに乗り換えなかった場合でも、多くのユーザーが関心を示しており約2,100億円の経済規模に達する可能性があると予想されています。
2022年にはInstagramやTwitterでNFTをプロフィール画像に設定できる機能が話題になりました。
このようにNFTはSNSでも気軽に使用できるまでに普及しており、ビットコインNFTが利用される場面も益々増えていくことが予想できます。
ビットコインNFTの概要
(theblockより引用)
ビットコインNFTはビットコインのブロックチェーン上で構築されているトークンです。
イーサリアムベースのNFTとは異なる特徴があるため、2023年に入り大きな注目を集めています。
Ordinalsとは
OrdinalsはビットコインベースのNFTです。
現在主流のNFTはイーサリアムベースのNFTが大半であり、これまでもビットコイン以外にソラナやカルダノベースのNFTが開発されていましたが大きく注目されることはありませんでした。
しかし2023年1月にOrdinalsプロトコルが開発されNFTの作成ができるようになり、多くのユーザーが関心を持つようになりました。
Ordinalsの仕組み
Ordinalsとは序数という意味で、ビットコインに番号を振って追跡できるようにデータを付加しています。
ビットコインの最小単位であるsatoshiは、1satoshi=0.00000001BTCです。
satoshiに番号を振って任意のデータを紐づけることでNFTとして扱うことが可能になっています。
イーサリアムNFTとの違い
イーサリアムNFTとビットコインNFTはなにが異なるのでしょうか。
ここではイーサリアムNFTと比較した際の特徴についてみていきましょう。
ビットコインベースのNFT
イーサリアムNFTとの最大の違いはビットコインベースのNFTであることです。
これまでNFTやDeFiなどのサービスは、スマートコントラクト機能のあるイーサリアムなどを中心に発展してきました。
ビットコインは金融取引を中心に行われていましたが、Ordinal NFTが開発されたことでビットコインユーザーもNFTの取引が可能になったのです。
ビットコインをNFTに利用することは、ユーザーの増加につながるという肯定的な意見の他に、金融取引を中心に利用するべき、環境への負荷が懸念されるという慎重な意見もあります。
希少性が高い
ビットコインNFTは希少性の向上や維持が期待できます。
これまでのイーサリアム上のNFTは、作成などのトランザクション処理をスマートコントラクト機能を使って行うため、実質的に希少性が低いと言われています。
その一方で、OrdinalsでNFTを作成することや転送、保存をするためにはビットコインを使う必要があります。
ビットコインを使う必要があることはデメリットに感じるかもしれませんが、供給量を絞ることで価値を維持することにもつながります。
セキュリティレベルが高い
ビットコインNFTは不正に強く安全性が高い特徴があります。
従来のイーサリアムNFTでは、NFTの取引をレイヤー2で処理するため不正やハッキングなどのリスクがありました。
しかしOrdinalsではビットコインで直接処理が行われるためセキュリティレベルが高いシステムになっています。
透明性が高い
Ordinalsではチェーンに直接書き込むオンチェーンというシステムで画像を作成しています。
全ての処理をビットコインで行うため改竄やコピーができないため高い透明性があることが特徴です。
イーサリアムベースのNFTでは、画像のurlなど一部の情報だけを書き込み、画像のデータなどは別のサーバーで管理していることが多いです。
別のサーバーで管理することで負担を軽減することができますが、サーバーが攻撃を受けたり、クラッシュすることで画像が書き換えられることや消える可能性もあります。
スケーラビリティ問題を解決できる技術
ビットコインNFTには、スケーラビリティ問題を軽減させるSegwit方式という技術があります。
bitpandaより引用
NFT業界では、取引量が増大することで送金が承認されにくくなったり送金時間が遅延したりするスケーラビリティ問題が課題となっていました。
ビットコインのSegwitとは、2017年に行われた大型アップデートのことです。
Segwitが導入されたことによって、独立した領域を使用してデータを記録することが可能になりました。
これによって1ブロックに書き込むデータの容量が4倍になり、コストも4分の1になることでトランザクションのデータ量を軽減させることに成功しています。
ビットコインNFTの将来性と課題
Ordinalsの登場でNFT業界に新しい選択肢が生まれましたが、一方でビットコインNFTの普及に不安や懸念を感じている人も一定数存在します。
ここでは、ビットコインNFTの課題や将来性について紹介します。
ビットコインNFTの売買はハードルが高い
課題の一つとして、ビットコインNFTを普及させるハードルが高いという点があります。
現在主流であるイーサリアムベースのNFTでは、スマートコントラクト機能によってNFTだけではなくDeFiなどの様々なアプリをユーザーが活用しています。
有名なNFTマーケットプレイスもOpenSeaやBlurなどをはじめ、国内外に多く存在します。
しかしビットコインNFTは誕生してから日が浅く、NFTの作成や売買に慣れていないユーザーが多いことも事実です。
今後ビットコインNFTが多くのユーザーに普及していくためには、NFTマーケットプレイスなどビットコインNFTに触れる機会を増やしていく必要があるでしょう。
取引手数料の高騰に繋がるという懸念
ビットコインをNFTに活用することには賛否両論があります。
反対する意見として、ビットコインNFTが今後普及していく中で取引手数料の競争が増し手数料高騰に繋がるのではないかという懸念がされています。
Ordinalsの特徴として通常の4分の1のコストでトランザクション処理を行うことができますが、それによって安価で買い占められるのではないかという意見も出ています。
またSegwitを導入することでマイナーにとってもデメリットがあります。
マイニングをする際にSegwitを導入すると、既存の製品では対応できない可能性もありマイナーからの反発も起きています。
ビットコインの利用拡大が期待できる
Ordinalsによってビットコインはこれから利用が拡大されることが期待されています。
2023年5月には「BRC-721E」というトークンが公表され、イーサリアムNFTをビットコイン上に移行させる新機能が実装されました。
これによりイーサリアムNFTからOrdinalsに移行するコレクターも増加し、ビットコインの取引量が大幅に増加することが予想されます。
まとめ
今回は、ビットコインNFT「Ordinals」について解説しました。
ビットコインNFTの普及によって、これまで主流ではなかったフルオンチェーンのNFTが注目されるようになりました。
Ordinalsでは高いセキュリティ性や透明性を有していて、スケーラビリティ問題の解消に繋がる技術も持っています。
今後もビットコインNFTの規模は拡大することが予想されるため動向には目が離せません。