Binance JAPANの開始予定は?取扱銘柄数や金融庁の審査との関係性を解説
海外の大手仮想通貨取引所として知られているBINANCE(バイナンス)が、日本国内の仮想通貨取引所に参入することが発表されました。
海外版Binanceは、豊富な取扱銘柄数やサービスが充実していることなどから、これまで多くのユーザーが利用してきました。
しかし今回の日本国内への参入に伴って、海外版Binanceを日本在住のユーザーが利用することが段階的に制限されることとなり大きな注目を集めています。
今回はBinance JAPANへの移行時期やサービス、取扱銘柄の予想などを解説します。
Binance JAPANとは
バイナンスは2022年11月に、日本国内の仮想通貨取引所の市場に参入することを発表しました。
サクラエクスチェンジビットコイン(SEBC)を買収し、日本居住者向けの新しいプラットフォームである「Binance JAPAN」を開設予定であることと、海外版のバイナンスを日本国内で利用することを随時サービス停止していく予定であると発表しています。
日本国内の仮想通貨取引所は、金融庁の審査などを経てホワイトリストに登録することで運営が可能になります。
現在バイナンスでは、500を超える銘柄を取り扱っていると言われています。しかし金融庁ではその多くの銘柄を許可しておらず、海外版のバイナンス自体も金融庁から認可を受けているわけではありません。
今後Binance JAPANで、どのような銘柄が取り扱われるのかやサービス内容になるのかが大きく注目されています。
海外版Binanceは利用制限の可能性も
Binance JAPANのサービス開始によって海外版Binanceが日本国内で利用できなくなる可能性があります。
多くのサービスが使えなくなる
Binance JAPANは2023年6月にサービスが開始されるという予定になっており、それに合わせて11月23日までに段階的にサービスが終了する流れになっています。
既に提供が終了したサービス
・デリバティブ口座の開設
・オプションの新ポジション作成や増加
・レバレッジトークンの取引
今後終了する予定のサービス
・オプション、レバレッジトークンが自動精算(6月23日)
・先物取引がレバレッジ10倍までに制限(6月23日)
・信用取引の新規ポジション開設(10月27日)
・先物取引(11月20日)
・信用取引(11月27日)
・現物取引以外のすべてのサービス(11月29日)
・現物取引(11月30日)
このように2023年11月30日までに段階的にサービスが終了していくため、現在保有や取引をしている資産を清算しないと、保持しているポジションは自動的に清算されてしまいます。
日本からの新規ユーザー登録は停止
2022年11月30日から日本国内から海外版バイナンスの新規ユーザー登録が停止されました。
ユーザー登録が停止した理由としてバイナンスは、「現地の規制を積極的に遵守するためにプロダクトとサービスの提供を常に評価しているため」としています。
バイナンスは仮想通貨交換業者であるSEBCを買収しており、日本市場に参入するため規制に沿って運営していくための準備とみられています。
そのため金融庁のホワイトリストに登録されていない銘柄を保有しているユーザーは資金の移動などが必要になるため注意が必要です。
Binance JAPANと海外版Binanceとの違い
Binance JAPANでは、既存のBinanceで提供されているサービスや銘柄を自由に利用できるわけではありません。
日本国内では金融庁の審査によって仮想通貨取引所の取扱通貨や資金運用サービスが認可される仕組みになっているため、Binance JAPANでどのようなサービスが受けられるのか違いを理解しておく必要があります。
資金運用サービスの違い
海外版Binanceとの大きな違いは保有している銘柄の運用サービスにあります。
海外版Binanceでは、セービングやステーキング、最大レバレッジ125倍の先物取引、流動性スワップなど多くのサービスを利用できます。
しかし日本国内の仮想通貨取引所では、高倍率のレバレッジ取引での取引やステーキングなどのサービスは一般的ではありません。
そのためBinance JAPANへ移行する場合には、全てのサービスをそのまま継続して利用できる可能性は少ないと言えます。
Binance JAPAN開始時の銘柄数は約30の予定
バイナンスによるとBinance JAPAN開始時の取扱銘柄数は30種類前後になると発表されています。
元々海外版Binanceでは独自のトークンであるBNB(バイナンスコイン)など500を超える取扱銘柄の売買がされており、Binance JAPANへ移行することによって大きく制限がされる形になります。
国内取引所ではホワイトリスト登録が必要に
Binance JAPANへ移行することで取扱銘柄数が30種類にまで減少することには理由があります。
日本国内で仮想通貨を取り扱うためには金融庁の許可が必要になります。そして取扱銘柄にも3社以上の会員企業が取り扱いをしており、1社が取り扱いを開始して6か月以上が経過していることなど条件を満たす必要があります。
国内で許可されている銘柄一覧
日本国内で広く取り扱われている銘柄は以下の通りです。
BAT
BCC/BCH
BTC/XBT
DAI
DOT
ETC
ETH
ENJ
IOST
LSK
LTC
MATIC
MKR
MONA
OMG
PLT
QTUM
SAND
SHIB
XEM
XLM
XRP
XTZ
XYM
(引用:一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA))
Binance JAPANでの取扱銘柄ははっきりと公表されていませんが、上記の銘柄が中心になり国内で流通していない草コインは取り扱われないと予想されています。
Binance JAPANで取り扱わない銘柄を保有している場合どうなるのか
それでは海外版Binanceで取引している草コインなど保有している場合にはどう対処すればよいのでしょうか。
海外版Binanceを利用している人は、日本国内の取引所では売買できないようなマイナーな草コインや勢いのある銘柄、またステーキングなど資金運用サービスを目的に登録している人も多いと思います。
しかしBinance JAPANでは多くのサービスが使えなくなるため、保有している銘柄を移動させるか換金することになります。
海外版Binanceの保有銘柄のおすすめの送金先は
Binance JAPANに移管する前に保有資産を送金する移動先として、国内取引所、海外取引所、ウォレットという選択肢があります。
国内取引所への送金は最も安全な方法といえます。国内取引所は金融庁の審査を経ているため取引所の閉鎖のリスクは少ないですが、海外取引所と比較して手数料が高いことや資金運用サービスの種類が限られることがデメリットです。
次に海外版Binanceと同様のサービスを継続して受けたい場合には海外取引所がおすすめです。
海外取引所では豊富な取引銘柄や資金運用サービスがありますが、一方で今回の海外版Binanceのように国内での利用が制限される可能性もあることに注意しなければいけません。
安全に保有資産を運用するためにはウォレットに送金するという選択肢もあります。
ウォレットに資産を保管するメリットとして、管理者に依存して倒産や資金流出が起きるリスクがないという点があります。またウォレットからUniswapなどの分散型取引所に送金することで、スワップ機能など様々なサービスを受けることも可能です。
仮想通貨を送金する際にはトラベルルールに注意
海外版Binanceから日本国内の取引所に仮想通貨を送金する際にはトラベルルールに違反していないか注意しましょう。
2023年6月からトラベルルールが改訂され、仮想通貨の送受金に制限がかかります。
海外版Binanceでは「TRUST」を導入しており、日本ではbitFlyerやコインチェックが採用していますが、対応していない他の国内取引所への送金は難しいのが現状です。
そのため仮想通貨の送金をする際には、対応している銘柄や取引所などを確認することが必要になります。
まとめ
今後日本国内では、海外版Binanceの利用が段階的に制限されていきます。
Binance JAPANへの移管に合わせて、ユーザーは保有銘柄の確認をして、どのような送金先を選択すればよくのかを慎重に判断する必要があります。
現時点では詳細な取扱銘柄数などは明らかになってはいませんが、金融庁の審査では提供サービスや取扱銘柄数は大幅に少なくなることが予想されています。