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暗号資産と他の金融商品との相関関係とは円安円高による影響を解説

cryptomedia

近年では、ビットコインなどの暗号資産とほかの金融商品との相関関係が注目されています。

暗号資産といえば予測のできない値動きをし、ギャンブル性が高くボラティリティが高い印象があります。

しかし米国株式やゴールドなどとの関係性が分かれば、より安全に投資を行うことも可能です。

ここでは暗号資産と他の金融商品との相関関係をチャートや相関係数を元に解説します。

 

暗号資産と金融商品の関係性とは

ビットコインなどの暗号資産と米国株式などの金融商品は一見関連性はないようにみえます。

しかし近年ではビットコインと米国株式の指数の相関関係が高いことなどが注目されていることをご存じでしょうか。

ここでは相関関係の基礎知識や暗号資産に相関性が本当にあるのかを解説していきます。

 

投資における相関関係とは

投資では片方の数値が高くなる(低くなる)と、もう片方の数値も高くなる(低くなる)ことを相関関係があると言います。

 

 

図のようにAを基準として、同じような推移をしているBを正の相関関係にあるといい、Aとは逆の動きをしているDは負の相関関係があります。またCはAとは関係のない値動きをしているため相関関係はありません。

このように相関関係を調べることで、暗号資産やビットコインがどのような値動きをするのかを予想することができます。

 

暗号資産には相関関係があるのか

ビットコインなどの暗号資産は、米国株式やゴールドなど他の金融商品とどのような関係性にあるのでしょうか。

ビットコインは株式投資などとは異なり、ギャンブル性の高い投資というイメージを持っている人も多いかもしれません。

実際にビットコインは非常にボラティリティが高い銘柄であり、過去10年間には激しい高騰と下落を繰り返してきました。2013年には66%を超える下落をしており、また2017年には約900ドルから約15,000ドルと10倍を超えるような高騰を記録しています。

そのため米国の株価指数であるS&P500やゴールドとの相関関係は低いと考えられてきました。

 

ビットコインのボラティリティの変化

ボラティリティが高いことが特徴であったビットコインですが、2022年6月の半ばから値動きの幅が狭くなっています。6月からは20,000ドル付近を推移しており激しい値動きが見られなくなりました。

一方でS&P500などの米国株式の指数は2022年から下落と高騰を繰り返すようになり、以前は相関関係はみられなかったビットコインとの値動きの関係に変化が生じるようになりました。

 

暗号資産と米国株式との相関関係

ビットコインなどの暗号資産と米国株式にはどのような関係性があるのでしょうか。

近年ではビットコインとS&P500やナスダック指数の動きに相関関係が見られる場面が増加しました。

ここではビットコインと米国株式の相関関係の変化や相関係数の高い時期などを詳しく見ていきましょう。

 

2021年まで相関関係はみられない

ビットコインと米国株式は元々相関関係はみられませんでした。

 

 

上記の2014年から2016年までのビットコインとS&P500の比較図のように、双方の値動きには連動性は低く推移しています。

下のチャートは相関係数を表しています。相関係数とは異なる2つの値動きがどの程度関係しているのかを表す指標です。

相関係数は-1から+1の間で推移し、+1に近いほど相関係数が高く、-1に近づくほど逆相関となります。また0に近くなるほど相関関係は低くなり双方の動きに関係はみられないということを意味します。

実際に上記のチャートの相関係数の推移をみると、正の相関と負の相関を行き来しており一貫性が見られず相関が低い関係が継続していることが分かります。

 

金利の上昇

しかし2022年4月に、アメリカの中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)が金利の引き上げを決めたことで暗号資産だけでなく、他の金融市場にも大きな影響を与えることになります。

 

 

政策金利を2.5%引き上げることで、投資家は企業業績の悪化などによる不安が高まり、株式市場だけでなく、暗号資産の市場からも撤退していきました。

このようにFRBの金利の締め付けによって米国株式とビットコインは値動きに変化がみられるようになったと考えられます。

 

相関関係に変化が

2022年からビットコインとS&P500は高い相関関係を示すようになっています。

 

引用:bloomberg

 

上記の相関係数の推移をみると、2015年から2021年までは逆相関になることも多く安定した相関関係にないことが分かります。

 

 

しかし2022年からは金利の締め付けなどの影響を受けて、ビットコインとS&P500は似た値動きをするようになりました。

 

暗号資産と円安・円高の関係とは

暗号資産と法定通貨に関係性はあるのでしょうか。法定通貨は国が管理しているため、為替相場の変動によって介入が行われることがあります。

一方でビットコインなどの暗号資産の価格は、需要と供給のバランスによって決まるため、円安や円高との関係性は薄いようにみえます。

 

円安と暗号資産の関係

ビットコインなどの暗号資産は、有事の際には逃避資産の手段の一つになります。

日本で円安が続き、円の価値が低下し続けることになれば、投資家は円から別の資産に入れ替えることを考えます。その際の選択肢のひとつがビットコインとなり円安によってビットコインの価値が上昇することが考えられます。

具体的な例としては、ウクライナ侵攻によって経済制裁を受けているロシアの投資家がルーブルをステーブルコインなどの暗号資産に換えていることなどが挙げられます。

しかし逃避資産にはゴールドなどの安全資産などの選択肢もあるため、円安になると暗号資産の価値が必ず上昇するわけではありません。

 

円高と暗号資産の関係

一方で戦争や世界的な災害などが発生すると円高になりやすいといわれています。円高では米ドルの価値が下がるため、米ドルを売りビットコインなどの暗号資産を買うというリスクヘッジを行う投資家が増加する可能性があります。

しかし円安と同様に、円高では必ずビットコインが購入されるわけではなく、ゴールドや債権などほかの選択肢もあります。そのため円高と暗号資産には大きな相関関係があるとは言い切れません。

 

今後の暗号資産と金融商品との関係性

2022年からはビットコインなどの暗号資産と米国株式は高い相関関係を保っていますが、今後はどのような関係性に変化するのでしょうか。

結論から言うとビットコインとS&P500の相関関係は崩れてきています。

 

 

2022年9月までは双方の値動きは高い相関係数を保っていますが、10月に入り少しずつずれが生じており乖離しています。そして11月には完全に逆相関の動きに入っているため、高い相関関係はなくなっているとみていいでしょう。

ビットコインとS&P500は2022年から短期的な相関関係を保ってきました。しかしその原因はFRBの政策金利の引き上げなどで株式市場や暗号資産の市場全体が冷え込んでいたことなどにあります。

実際に過去10年のビットコインの値動きをみても、米国株式とは高い相関関係にあるとはいえず限定的であったと考えられます。

 

まとめ

今回は暗号資産と他の金融商品との相関関係について解説しました。

暗号資産の中でも特にビットコインは発行から10年余り独自の成長を続けてきましたが、近年になって米国株式などとの相関関係がみられる箇所が増加しています。

そして多くの投資家は米ドルや円などの法定通貨で暗号資産の取引をしているため、金利の引き上げなどによって為替が変動すると他の金融商品と同様に一定の影響を受けることが分かりました。

しかし米国株式との高い相関関係はあくまで一時的な現象であるので、投資をする際には一つの要因に頼りすぎず慎重に判断することが大切です。

 

 

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