次世代ブラウザBraveとは 既存のブラウザの問題点とWeb3.0との関係を解説
最近では、様々な分野でWeb3.0が注目されることが増えており、次世代ブラウザであるBraveの名前を聞いたことがある人も多いと思います。
Braveは広告をブロックする機能がついたブラウザで、ブロックチェーン技術を利用している点からも話題になっています。
実際にブラウザでの広告表示によって利便性が損なわれていると感じるユーザーもいて、Braveのユーザーも増えていくことが期待されています。
今回は、次世代ブラウザであるBraveの概要や既存のブラウザの問題点について紹介します。
次世代ブラウザBraveの紹介
Braveとは2019年11月に発表された、広告をブロックする機能が搭載されている次世代のインターネットブラウザです。
次世代ブラウザと呼ばれている主な理由として、Braveではブロックチェーン技術を使い広告やトラッカーをブロックするシステムを取り入れています。
Braveのユーザーは、広告を見るかを選択することができ閲覧することでBAT(Basic Attention Token)という仮想通貨を報酬として受け取り還元されます。
Braveでは、広告の利益を約70%ユーザーに還元する収益循環を作り出しており、Web3.0における代表的なインターネットブラウザのひとつと言われています。
既存のブラウザの課題
webサイトにおける広告は収益を確保するために必要不可欠なものですが、一方で関心のない情報をみせられたり、ページの表示される速度が遅くなることなどユーザーにとっては邪魔になることも多いです。
上記のようなポップアップ広告や全画面広告、自動再生型の広告、追尾型の広告などの迷惑な広告は、ユーザーの利便性を大きく損なうことになります。
Web2.0の代表的な企業であるGoogleの広告収入は、全体の80%以上を占めると言われており広告に依存している現状があります。
そのためWeb3.0のブラウザであるBraveの存在が注目を集めています。
Braveと既存のブラウザとの違い
既存のブラウザでは広告表示をするビジネスモデルを採用していますが、Braveは広告を最初から表示しない設定になっています。
ここでは広告を表示しないことによって、既存のブラウザとどのような違いがあるかを見ていきましょう。
広告をブロックする
Braveの最大の特徴として、広告を非表示する機能が搭載されています。
Googlechromeなどでwebページを閲覧する際に広告があると、データを使用する量が増えメモリを消費してしまうことや、関心のない情報を見せられることになります。
そのため、消費電力や通信料の増加、時間を無駄にとられてしまうというデメリットがあります。
Braveでは、広告をブロックした数や節約できたデータ使用料などが表示され、ユーザーがどの程度の利益があったかを視覚的に判断することができます。
無料でYouTube広告を消すことが可能
YouTubeでは、動画を視聴する際に広告が再生されることも多いと思います。
広告の表示を消すためには、有料のサブスクリプションサービスである「YouTube Premium」に加入することが求められますが、Braveを利用することで無料で広告を消すことができます。
iOS13以上では、オフライン再生やバックグラウンド再生にも対応しておりスムーズに動画を楽しむことが可能です。
高速での検索が可能
Braveでは、既存のブラウザと比較して高速でのサイト検索を行うことができます。
2020年11月に行われたウェブ表示速度の調査によると、主要コンテンツサイトの表示速度でBraveが最速という結果が出ています。
(引用:「スマホでのコンテンツ視聴に占める広告の比率調査」を実施 主要Webサイトのデータ転送量、平均4割は広告)
Braveでは広告を非表示にすることができるため、データ転送量が少ない分だけ表示速度が速くなります。
実際にwebサイトのデータ転送量の内、約40%は広告が占めていると推計されています。そのため広告の有無によって表示速度にかなり差が出ることが分かります。
Basic Attention Tokenを受け取れる
Braveが他のブラウザと異なる点として、広告を見ることで報酬を得られるシステムである「BraveRewards」という機能が存在します。
BraveRewardsでは、広告の表示回数などを設定することができBAT(Basic Attention Token)というトークンを受け取ることができます。
BATは仮想通貨取引所と紐づけることで運用をすることやコンテンツの制作者に投げ銭をすることなどに活用されています。
Braveでは広告が表示されないため、サイトの運営者などの代替収益としてBATを新しい収入源として使うという使い道もあります。
プライバシーが守られる
Braveではプライバシーの保護を最優先に作られています。
Googlechromeなどのブラウザでは、位置情報やサイトの履歴をウェブサイトや他の使用者を共有されることもあります。
そのため個人情報が盗用される恐れがありますが、BraveはIPアドレスを追跡することはできず安全に利用できるプライバシーの確保されたブラウザといえます。
Braveのシェア率やユーザー数
2023年時点での、世界でのインターネットブラウザのシェア率は以下のようになっています。
引用:W3Counter
グラフをみるとChromeが約75%と圧倒的なシェア率を残している一方で、Braveは上位には表示されていません。
引用:BraveBat
BraveBatのデータによると、2023年5月のBraveのデイリーアクティブユーザー数は約2,213万人という結果が出ています。
一方でChromeは30億人を超えていると言われているため、主要なブラウザを比較するとBraveのユーザー数はまだまだ少ないという現状になっています。
Braveの問題点
一方でBraveを使用する際に不具合が起こることや、他のブラウザと比較して不便に感じる点なども報告されています。
連携できる仮想通貨取引所が少ない
Braveでは、連携できる取引所がbitFlyerしかありません。
仮想通貨の投資や運用をしている人は、それぞれが異なる取引所やウォレットを利用しています。
しかしBATを受け取るためにはbitFlyerの口座開設をしなければいけないため、不便に感じるかもしれません。
サイトがうまく表示されないという報告がある
Braveの広告ブロック機能が有効になっている状態で、webサイトが正常に表示されないという報告がされています。
そのため特定にサイトだけ他のブラウザと併用し使い分けることなど注意が必要です。
外国語の翻訳がしにくい
Braveには日本語に翻訳する機能がありますがあまり評判がよくありません。
Google Chromeなどの他のブラウザの翻訳機能と比較すると、うまく翻訳できていないことも多いと言われています。
具体的には特定の漢字が??で表示されるような不具合が報告されておりアップデートが期待されています。
次世代ブラウザBraveの将来性
既存のWeb2.0ブラウザにとってかわる存在として注目されているBraveですが、大手のブラウザと比べてシェア率や利用者数は少ないのが現状です。
ここでは、将来的にBraveのどのような要素に期待ができるのかを紹介します。
ソラナのネットワークと機能統合
2023年2月にBraveはソラナの分散型アプリのサポートを発表し、iOSやAndroidでSolana DAppsにウォレットを接続できるようになりました。
Brave Walletでは、ETHやMATICなど100以上の仮想通貨やNFTなどに対応していましたが、ソラナも対応することでBraveを離れることなく多くのアプリを利用できるようになっています。
Web3.0ブラウザとして既存のブラウザにとってかわる可能性も
現在では、Web2.0の代表的なブラウザであるGoogle Chromeがシェアの多くの占めていますが、問題点をアップデートできなければBraveのような次世代のブラウザがシェアを伸ばす可能性が大いにあります。
既存のブラウザは、広告表示によってサイト間の移動が阻害されたり、メモリを多く消費することで利便性が落ちることや消費電力が高まる点が課題となっています。
今後Braveの検索エンジンが開発されたり、利便性が高まることで利用者が急激に増加する可能性もあります。
まとめ
今回はWeb3.0ブラウザであるBraveについて解説をしました。
2023年時点で約2,000万人のユーザーがいるBraveですが、将来的にはGoogle ChromeやMicrosoft Edgeのような大手のブラウザと並ぶほどに成長することが期待されています。
今は表示ができないサイトや取引所との連携数などが少ないことが課題となっていますが、改善されることで日本でも多くのユーザーが増えることが予想されます。